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新型コロナウイルスについて学習、その1 [コロナウイルス]

周りに聞かれるのですが、私はウイルスのこと良く分かりません。大学院在籍中Cell Biologyのクラスで扱われたこと、誰が教えてくれたかは覚えていますが、中身はあまり記憶がないです。

実験では遺伝子導入のためにアデノウイルスやアデノ随伴ウイルスを使いますが、あくまでも手段としてで、詳細までいろいろなウイルスの仕組みを理解していません。以下のような使い方をしています。それだけです。

業者さんの解説サイト(Takara Bio、日本語)
遺伝子導入実験ハンドブック

折角の機会なので素人同然の私がウイルスについて学んでみることにしました。面倒なので今回は最初日本語で検索しました。以下の4つのサイトを参照しました。

第11章 ウイルスとは
インフルエンザウイルスの増殖サイクル(島根県感染症情報)
インフルエンザウイルス
コロナウイルス

1から復習するのも大変なので、自分が分からないと思うことに対して、答えを探しました。私の勝手な理解なので鵜呑みにしないで下さい。

1.形状:一本鎖プラス鎖RNAウイルス(=ゲノムとmRNAの両方として働く遺伝物質を持つ)、膜構造(エンベロープ、下の図ではLipid membraneで脂質による二重の膜構造)があり、またRNAを取り込むヌクレオカプシド(Nucleocapsid protein)を持つ

20200314_FBD001.jpg

ただとげとげのスパイク蛋白(S蛋白)は脂質の膜と結合しているようですが、役割がわかりませんでした。結局英語で調べると、侵入した先の細胞の表面にあるACE受容体(angiotensin converting enzyme 2 receptor)と結合するのに使われるようです。

20200314_FBC902.png

スパイク蛋白と受容体、お互い認識する仕組みがあるのでしょうか?これも英語で調べると、、、

COVID-19 coronavirus spike holds infectivity details

It is in charge not only of attachment at the host cell surface, but also of fusing the viral and host cell membranes to allow the infection to start.

(スパイク蛋白は宿主細胞表面での付着だけでなく、ウイルスと宿主細胞の膜を融合させて感染を開始させる役割も果たす。)

と言ってるので、詳しくはわかりませんが感染先となる宿主細胞を認識する機能を持っているのでしょう。逆に言うと認識しない所では感染しない、ということです。

上の挙げた日本語サイトによると、インフルエンザが感染する場合のシアル酸受容体は全身の細胞で見つかるようですが、今回のコロナウイルス(SARS-CoV-2)はどうでしょうか?。すでに論文が出ていました。どちらもオープンアクセスで読むことが出来ます。

Angiotensin-converting enzyme 2 (ACE2) as a SARS-CoV-2 receptor: molecular mechanisms and potential therapeutic target

83% of ACE2-expressing cells were alveolar epithelial type II cells (AECII), suggesting that these cells can serve as a reservoir for viral invasion.

(ACE2を発現する細胞の83%は、肺胞上皮II型細胞(AECII)であり、これらの細胞がウイルス侵入、滞在先として機能出来ることを示唆している。)

なるほどalveolarは気管支の先、袋状の構造でまさに酸素を血液に供給し、交換に代謝の副産物である二酸化炭素を外に除去するところですから、これらの機能が衰えたら呼吸が苦しくなるのは理解できます。たまたまですが先週私の授業でもこの細胞は袋構造を維持するためのsurfactant(界面活性剤)を分泌するところと教えたので、これがないと袋構造がつぶれてしまい、肺の生理的な機能を維持できないことも知っています。また

Human alveolar epithelial type II cells in primary culture

AEII cells regulate the transepithelial sodium ion transport for alveolar fluid clearance.

(AEII細胞は、肺胞に溜まった液を除去するために経上皮ナトリウムイオン輸送を調節する。)

らしいので、ここがやられると水が溜まって呼吸が苦しくなる肺水腫が起きうるのもわかりました。

もう一つの論文を読むと感染が確認された阪神の投手の自覚症状についても手掛かりがつかめます。

High expression of ACE2 receptor of 2019-nCoV on the epithelial cells of oral mucosa

ACE2 expressed on the mucosa of oral cavity. Interestingly, this receptor was highly enriched in epithelial cells of tongue.

(ACE2受容体は口腔粘膜に発現していた。興味深いことに、この受容体は舌の上皮細胞に非常に多く発現していた)

もしかしたら感染によりこの経路で味覚がやられるのかも知れません。

1だけで長くなったので、この続きは次回にします。私も余暇にやることにしては時間をかけすぎました。
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