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トランプ政権のコロナ対策特別アドバイザ、辞任 [コロナウイルス]

8月にコロナ対策に関して特別アドバイザーとして現政権に仕えてきたスコット・アトラス氏が今日辞任しました。もっとも元々の契約期間(130日)が今週で切れるところだったそうです。

Dr. Scott Atlas resigns as special adviser to Trump on coronavirus

“As time went on, like all scientists and health policy scholars, I learned new information and synthesized the latest data from around the world, all in an effort to provide you with the best information to serve the greater public good,” Atlas wrote. “But, perhaps more than anything, my advice was always focused on minimizing all the harms from both the pandemic and the structural policies themselves, especially to the working class and the poor.”

(時が経つにつれ、他の科学者や医療政策学者と同様に私も新しい情報を学び、世界中の最新データを総合して、より大きな公共の利益のために最善の情報を提供しようと努力してきた」とアトラスは辞任状に書いた。"しかし、おそらく何よりも私のアドバイスは、パンデミックと構造的な政策そのもの、特に労働者階級と貧困層への害を最小限に抑えることに常に焦点を当てた」ともそこに書いている。)

以前にも書いたとおり彼は放射線医で、公衆衛生に関する政策などに関してはトレーニングを受けておらずずぶの素人の方です。ここFox Newsでも以下のように書かれていました。

Over the summer, Centers for Disease Control and Prevention Director Robert Redfield reportedly criticized Atlas, claiming that “everything he says is false.”

(夏の間、米国疾病対策センターのロバート・レッドフィールド所長が「彼の言うことはすべて嘘だ」とアトラス氏を批判したことが報じられていた。)

CNNでも彼の辞任を報じています。

Dr. Scott Atlas resigns from Trump administration

辞任する、という事実では一緒ですが、批判はこちらのが鋭いです。

A source close to the task force told CNN on Monday that Atlas' departure comes as welcome news, as his discredited theories will no longer have a seat at the table. A separate official said the task force remains intact following Atlas' departure.

(タスクフォースに近い関係者がCNNに語ったところによると、アトラス氏の辞任は歓迎すべきニュースであり、彼の信頼出来ない理論がなくなることは喜ばしい、とのこと。別の関係者によればアトラス氏が去った後もタスクフォースは無傷であると言った。)

彼が所属していたスタンフォード大学医学部も以前、彼の言動を批判する書簡を連名で送っていましたが、今回は以下のように反応しているようです。

A group of faculty members at the university celebrated his resignation from the Trump administration on Monday, saying in a statement that it's "long overdue and underscores the triumph of science and truth over falsehoods and misinformation."

(大学の教授陣は月曜日に彼がトランプ政権から辞任したことを祝い、声明で "長く時間がかかったが、虚偽や誤報よりも科学と真実が勝利したのは明確だ "と述べている。)

"His actions have undermined and threatened public health even as countless lives have been lost to Covid-19," the faculty wrote.

(Covid-19により数え切れないほどの命が失われているのに、彼の行動は公衆衛生の土台を壊し、脅かしている、とその教授は書いた。)

さて彼の次の仕事はどこでしょうか?カルフォルニアやスタンフォードには戻れない気がしますが、歓迎するところもあるのかも知れません。
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自分へのサイバーマンデーの贈り物を考えた [日常]

今日は期末試験の採点と新しく応募するグラントの下準備で一日が終わってしまいました。自分の効率が良くないことはもっともですが、それでも時間が足りません。

少しだけ時間を割いてサイバーマンデーで何か掘り出し物はないか?と探したのですが、今の自分にすぐ必要だなと思うものは見つかりませんでした。唯一悩んでいるのはまたWSJを購読するかどうか?ということです。今だとデジタル版なら1か月4ドルで購読(ただし1年間)できます。以前購読するもあまり読まなかったので止めてしまったのですが、その時よりは現在の方が新聞のヘッドラインに目を通すようになりました。良くも悪くもCOVID-19によるステイホームの賜物です。

新聞を読むようになったことで分かったことは、自分の英語の語彙が少ないことです。専門分野のこと、そしてフットボールに関する内容ならかなりわかりますが、これ以外のことでは全くだめです。見出しを読み多少なりとも内容を読むようになると、まだ少しずつですが覚えた単語が増えた感じがするのです。

気づくとアメリカ滞在年数ばかりが増えていますが、言語に関してはその年数から期待できるほど出来るとは到底思えません。本来なら新聞は紙で読みたい派ですが、このご時世で配達されるのを読むのは賢明ではないかな思います。しかも日本と違い届かないことも多かったです。それならデジタル版を購読して様子を見ればいいのですが、果たしていつまで読むだろうか?とまた考えては即決できない自分がいます。情けない限りです。
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ホールフーズにある冷凍庫内のお魚類 [日常]

今日は用事がありホールフーズに出かけました。主な理由は誕生日プレゼントの一部を買うことでしたが、感謝祭開けのためか人が少なく、快適に店内を動き回ることが出来ました。

まず店内に入って目についたものです。

立派な栗が売っていました。

イタリア産です
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次に目についたものはお芋です。焼き栗や焼き芋はこの季節の風物詩ですよね。

日本種のお芋
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普段あまりパシャパシャ写真を取れませんが、空いていたので冷凍庫内にある魚を撮影してみました。これ以外に量り売りしてくれる魚コーナー(他ほど大きくないですが)がラフィエット店でもあります。

揚げ玉パン粉エビ、揚げればいいのでしょうか?
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普通の冷凍エビ、この辺りの海ではエビが取れます
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エビとホタテ
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ティラピアと北海のマスの切り身、日本ではティラピア見かけないかな
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鮭、うちでも塩焼きしてます
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種類は多くないですが、これらを常にスーパーで買うことが出来ます。アジア食品店に行けばもう少し種類はありますが、こちらのが回転がよく新鮮かな、と思っています。

アメリカの田舎でもこの程度の魚は手に入る、という参考例です。

P.S. 餅アイスが個別包装に変わっていました。

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ブラック・フライデーでケーブルモデム・ルータを買った [日常]

祭日が開けたので、ガソリンを入れに行きました。感謝祭が過ぎたのでいよいよホリデーシーズン到来ですが、今年は相変わらずガソリンが安いです。

レギュラーは1ガロン1.549セント
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ルイジアナというかガルフ湾沖で石油採掘をしていて、この辺りはその産業に従事している方が多いはずですが、これじゃ景気がいいはずありません。

最近は日本でも便乗してやっている、という話を聞きましたが、今日アメリカはブラックフライデーです。クリスマスに向けて本格的な商戦となるはずですが、最近は少しでも売りたいのかフライングが多く、いつからセールが始まっているのかよくわかりません。

基本電化製品が安いので、それを探しましたが昨日も書いたようにパソコン関係はむしろ例年より高く見えるので、一切手を付けることを辞めました。ただ家で使っているケーブル・モデム(ルーター、Wifi機能付き)が3年以上経ち、よく見たらWifiが802.11 acに対応しておらず相変わらず2.4 Ghz帯をメインで使っているので、新しいものを探してみることにしました。それほど速いインターネットを利用しているわけではないですが、802.11 nと802.11 acの速度の差は結構あるかなと思っています。因みに802.11 nでも5 Ghz帯を使いますが、802.11 acと比べて遅いはずです。

ちょっと探すとBlack Fridayの商品はお買い得感があったものの、スペックが良さすぎでした。ちなみに私はNetgear派です。ずっと使っていて安定していますし、トラブルシューティングのやり方も馴染みがあるので、ベンダーそのままです。

値段がすでに$189に戻っていますが、ブラックフライデーでは$159でした。Walmartならさらに安く$155でした。

NETGEAR Nighthawk Cable Modem WiFi Router C7000

ここまでのオーバースペックはいらない、と思いもう少し探すと現在の機器のアップグレード版が手ごろな値段で見つかりました。

NETGEAR AC1600 WiFi Cable Modem Router C6250

他のサイトだと150ドルぐらいでしたが、ここではブラックフライデーのクーポンも使えて$135ドルでした。本来ならもう一つ下のグレードのもの(NETGEAR - AC1200 WiFi Cable Modem Router C6220)でも十分ですが、それほど値段が変わらないのと、閲覧中は売り切れですぐに手に入らなかったので辞めました(注:でもたった今みたら「在庫あり」になっていました、なぜ?)

まぁ購入したものは下位のものと比べて接続範囲が広いのと、接続できる機器数に余裕があるので、良しとします。これで少しは家庭内のWifiスピードが上がれば御の字です。スピードテストを何回かやっておき、交換前、交換後を検証するつもりです。
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全国犬の評議会・選手権を観た@感謝祭 [日常]

今日アメリカでは感謝祭という祭日でした。例年通りテレビをつけてMacy'sによるNYCでのサンクスギビング・パレードを観た後、そのまま犬の全国評議会も見て久しぶりにのんびり過ごしました。もちろん前者は観客なしで行われましたが、後者も観客なしでした。犬が歩き回っているときは観客の声が入りましたが、どこかで録音していた効果音なのかも知れません。

しかし世の中気品があって高そうな犬がたくさんいるものです。またすごいな、と思ったのは新型コロナウイルスをかぎ分ける訓練を受けている犬がいることです。これって絶対的に今必要だと思いますけどね。どれぐらいの精度でかぎ分けることが出来るのでしょうか?職場に欲しいです。

ラブラドールでしょうか?訓練中です。


ちなみに優勝した犬はこのワンちゃんです。スコティッシュディアーハウンドというそうです。

NBCの動画よりキャプチャー
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ぼくが気に入った犬はこちらです。初めてみました。自動車洗車で使われるモップみたいです。

NBCの動画よりキャプチャー
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夕方からはブラックフライデーに何を買うか検討していました。なぜかAMDのCPUがすごく上がっていて、びっくりしました。むしろパンデミックが始まったばかりに購入しておいてよかったです。
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アストラゼネカ社のワクチン評価に暗雲?! [コロナウイルス]

一昨日、アストラゼネカ社とオックスフォード大学が共同で開発したワクチンの治験も良好な結果が得られた、と書きましたがひと悶着起きているようです。専門家によると、同社の情報開示の甘さが信頼性を低下させている、とか。

After Admitting Mistake, AstraZeneca Faces Difficult Questions About Its Vaccine

AstraZeneca has acknowledged a key mistake in the vaccine dosage received by some study participants, adding to questions about whether the vaccine’s apparently spectacular efficacy will hold up under additional testing.

(アストラゼネカ社は一部の被験者が受けたワクチンの投与量に重要な誤りがあったことを認め、ワクチンの素晴らしい有効性を追加の試験でも維持されるかどうかについて、疑問を加えることになった。)

アメリカ側は突っ込みます。

Officials in the United States have noted that the results were not clear. It was the head of the flagship federal vaccine initiative — not the company — who first disclosed that the vaccine’s most promising results did not reflect data from older people.

(米国の当局者は結果が明確ではなかったと指摘した。ワクチンの最も有望な結果が高齢者のデータを反映していないことを最初に明らかにしたのが同社ではなく、米国ワクチン・イニシアチブの責任者だった。)

アストラゼネカ社の責任者は、

The error in the dosage was made by a contractor, and that, once it was discovered, regulators were immediately notified and signed off on the plan to continue testing the vaccine in different doses.

(投与量の誤りは契約先業者によるもので、発見するなりすぐに規制当局に通知し、彼らは異なる投与量でワクチンの試験を続ける計画に署名した。)

と弁解しています。これは法的に必要な手順を経たことを主張するだけで、科学的にどんな意義があったかは言っておらず、残念ながら試験の結果の解釈には問題が残りそうです。

それと私も単純に疑問に感じた、少ない投与量の方が良好な結果が得られたことに関してですが、

The biggest questions were, why was there such a large variation in the effectiveness of the vaccine at different doses, and why did a smaller dose appear to produce much better results? AstraZeneca and Oxford researchers said they did not know.

(最大の疑問は、なぜ異なる用量でのワクチンの有効性にこのような大きなばらつきがあったのか、そして、なぜより小さい投与量の方がはるかに良い結果が得られるように見えるのか、ということである。アストラゼネカとオックスフォードの研究者は、わからないと述べている。)

この記事を読むと、批判に関してアストラゼネカ社の責任者はちょっと逆切れしたのか、

“The reality is, it could end up being quite a useful mistake,” Mr. Pangalos said in the interview with The New York Times on Wednesday. “It wasn’t putting anyone in danger. It was a dosing error. Everyone was moving very fast. We corrected the mistake and continued on with the study, with no changes to the study, and agreed with the regulator to include those patients in the analysis of the study as well.”

(現実にはかなり有益なミスで終わる可能性がある "とパンガロス氏は水曜日のニューヨーク・タイムズとのインタビューで語った。"誰かを危険にさらしたのではない、投薬ミスだった。誰もが非常に速く動いていた。我々はミスを修正し、研究に変更を加えることなく研究を続け、規制当局との間でこれらの患者を研究の分析に含めることに合意していた。)

He added, “What is there to disclose? It actually doesn’t matter whether it was done on purpose or not.”

(何を公開するのか?実際には意図的に行われたかどうかは問題ではないだろ?と彼は言った)

ワクチンの出来が同社の株価に大きく影響を与えるようで必死ですが、経済ではなく科学の面から慎重に進めていただきたいものです。
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過去最悪を更新しルイジアナ州もフェーズ2に逆戻り [コロナウイルス]

恥ずかしい話経済について非常に疎いのですが、アメリカのダウ平均株価が初めて3万ドル台に乗ったそうです。新型コロナウイルス蔓延で経済がそれほど回っているとは思えないのですが、金融政策のおかげでお金が回っている、という解説です。経済の実態とは乖離している、と言っても儲かっている人はいる、ということでしょうね。理解出来ませんが。

WSJより
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私の場合今は米国で働いて積立しているので、引退したときに最低限余生を暮らせるぐらいのお金をもらえればいいな、そのために株価は安定してて欲しいな、というぐらいの思い入れしかありません。もっとも引退出来るのでしょうか?恐らく働けるうちはずっと働いていそうです。

さてルイジアナでは州知事が会見をし、経済再開を僅かながら後退させるようです。フェーズ3から修正したフェーズ2へ明日移行するとのこと。

Gov. Edwards announces state will take a step back to 'modified' Phase 2

もともとフェーズ2と3の違いはあまりない、と言っていましたし、バーやレストラン(室内は50%へ)、ジム(50%)も閉めなければ、室内での集まりを対して制限するわけでもない(25%もしくは最大75人)ので、それほど効果は期待出来ず、むしろ市民への注意喚起と言ったところでしょうか。

一時期には人口比あたりの新規感染者数でトップを独走していたルイジアナですが、11月23日のデータではなんと18位まで順位を落としていました。

11月23日現在、人口比あたりの各州の新規感染者数
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しかし数日前にまた数千もの数えていなかったバックログをしれっと追加しましたし、ここ数日は1日あたりで州内の新規感染者は2~3千人を記録しているので、多分にもれずまた順位を上げていくものと思われます。さすがエリート。

11月24日現在、人口比あたりのルイジアナ新規感染者数、すでに最悪を更新中
LA-dailyinfected_Nov24.jpg

また医療従事者に負担をかけることになりそうです。しかし学ばないな、過去から何も。
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アストラゼネカとオックスフォードのワクチンも良好な結果、だけど? [コロナウイルス]

昨日ファイザーとモデルナ社のワクチンの話をしたら、今日イギリスからもレポートが届きました。

AZD1222 vaccine met primary efficacy endpoint in preventing COVID-19

2.3万人の被験者(実際はプラセボが入っている)に2つの手順(半分量+十分量もしくは十分量x2)でワクチンを投与し経過を観察したとのこと。よく分からなかったのが以下の文章です。

One dosing regimen (n=2,741) showed vaccine efficacy of 90% when AZD1222 was given as a half dose, followed by a full dose at least one month apart, and another dosing regimen (n=8,895) showed 62% efficacy when given as two full doses at least one month apart. The combined analysis from both dosing regimens (n=11,636) resulted in an average efficacy of 70%.

(ある投与計画(n=2,741)では、AZD1222を半分投与後、少なくとも1ヶ月後に十分量を投与した場合に90%のワクチン有効性が示され、別の投与計画(n=8,895)では、少なくとも1ヶ月間隔をおいて十分量を2回投与した場合、62%の有効性が示されました。両方の投与計画(n=11,636)を組み合わせて解析した結果,平均有効率は70%でした。)

半分にした方が経過が良好なのはどうしてでしょうね。たまたまなのか、それとも理由があるのか。また以前何か被験者に問題が起きて臨床試験を一時中断した気がしますが、今回、安全性は大丈夫と結論付けています。本当に大丈夫だったのでしょうか。

ただCNNはファイザーやモデルナは結論に至った有効性に関するデータを開示したのに、アストラゼネカはデータについて言及していない、と疑問を投げかけています。

Experts have questions about AstraZeneca's vaccine data

In its press release, AstraZeneca said a total of 131 study participants developed Covid-19 but did not say how many of those people had received the Covid-19 vaccine and how many did not.

(プレスリリースでアストラゼネカは合計131人の被験者がCOVID-19を発症したと言ったが、そのうちの何人がCOVID-19ワクチンを受けたのか、何人が受けなかったのかには言及していない。)

CNNも臨床試験一時停止したことについて触れていました。

The AstraZeneca trial was put on hold twice because government regulators were concerned about two study participants who became seriously ill. Regulators later allowed the trial to resume.

(アストラゼネカの治験は、政府の規制当局が2人の被験者が重症化したことを懸念したため、2度にわたって試験が中断された。その後、規制当局は試験の再開を許可した。)

ワクチン開発の主導権争いがあるのか、国としての威信もあるのか。政治的、経済的な利権もあるのでしょうか?ワクチン開発は熾烈を極めています。
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ワクチンの有効性を示した臨床試験に関する考察 [コロナウイルス]

まず始めに、以下に書くことは私の率直な疑問であり、私なりの見解です。もし正しくご理解している方がいれば遠慮なく「こうだよ」とか「違うよ」とご指摘いただけると幸いです。またワクチンの有効性や今後の展開について水を差すつもりもないこと、ご理解下さい。

11月に入りフェーズ3の臨床試験の結果が出始めて、ファイザーやモデルナのワクチンの有効性が90数%だったというニュースを聞きました。希望が持てる結果です。ただこの95%とかという数値、一体どう判断してるんだろう?と素朴に疑問にもちました。すると以下のサイトに日本語で優しく書いてありました。

2つの新型コロナウイルスワクチン これまでに分かっていることとまだ分かっていないこと

効果90%は他のワクチンと比べてどうか?のパラグラフに以下のように記述されています。

例えば、40000人の参加者のうち、20000人がワクチン接種群、20000人がワクチン非接種群に割り付けられたとして、非接種群では50人感染したのに対し、ワクチン接種群では5人しか感染しなかった、という場合に「感染していたはずの45人(90%)の感染を防いだ」という意味で90%の予防効果があった、と表現します。

ここで大切だなと思った事は、1、ワクチンを接種しても感染する人が少しはいる、2、実際にワクチンの接種の有無にも関わらず、コロナウイルスに出会う環境はコントロールされていないらしい、ということです。後者は動物を利用した実験ではないため、意図的に例えば鼻や口から一定量の生ウイルス、もしくはそれに相当するものを等しく暴露させて結果を比較していなさそう、という意味です。それとも被験者はマスク着用やソーシャルディスタンスをとることを禁止したのでしょうか?

臨床試験に関する企業の広報からの発表を探してみました。

ファイザー社
PFIZER AND BIONTECH CONCLUDE PHASE 3 STUDY OF COVID-19 VACCINE CANDIDATE, MEETING ALL PRIMARY EFFICACY ENDPOINTS

接種に関する安全性に対してFDAの基準を満たしたこと、efficacy(有効性?)が95%であったことは書かれていますが、被験者にどのようにウイルスに接してもらったかは見つけられません。

折角なので臨床実験のための手順書を探したら、見つかりました。

A PHASE 1/2/3, PLACEBO-CONTROLLED, RANDOMIZED, OBSERVER-BLIND, DOSE-FINDING STUDY TO EVALUATE THE SAFETY, TOLERABILITY, IMMUNOGENICITY, AND EFFICACY OF SARS-COV-2 RNA VACCINE CANDIDATES AGAINST COVID-19 IN HEALTHY INDIVIDUALS

137ページにわたる文書なのですが、ぱっと見る限り患者をコントロールした形でウイルスに暴露することはしなかったようです(当たり前ですが)。これだと意地悪な言い方をすれば、純粋なワクチンの接種有無だけでなく、臨床期間に感染しないように行動出来た人、出来なかった人、もしくは通勤や仕事などの環境の違いが間違ってワクチンの有効性に反映されかねない、と勘繰ってしまいます。このことってヒトを対象にした臨床の場合、気にしなくていいのでしょうか?

普通に考えればワクチンを接種してもマスクをし、ソーシャルディスタンスを取る、としてくれればいいのですが、この国の方は「いぇーい、これで自分はもう大丈夫」となりかねません。つまり接種した人としない人の行動の違いからも社会で混乱が起きると私は考えてしまうので、95%という数字をどれだけ信頼していいのかも不安になります。

もしご存じの方がいらっしゃたら、ぜひ教えていただきたく存じます。

P.S. ちなみにワクチン接種後、生ウイルスに暴露させて影響をみることで直接効果を観察できますが、私が知る限りいまだに理想的な動物モデルが見つかっていないようです。
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中国ではすでに100万人弱がワクチンを受けた?! [コロナウイルス]

今日はねずみさんの世話をして、少し実験したら1日が終わりました。週末とは言え珍しくラボには誰もおらず、自由に動けて快適でした。

さてワクチンの話。何日か前に以下のような記事を読みました。製薬会社会長がSNSで呟いたそうです。

China has given almost a million people experimental Covid vaccine, says company(中国でほぼ100万人に実験的コロナウイルスワクチンが投与された)

日本語でも同様な記事が見つかりました。

中国シノファーム、約100万人にコロナワクチン接種 有効性の証拠は示さず

フェーズ3を経ずに100万人近くの人に開発中のワクチンを接種を許可するとは、さすが人口大国中国だと思います。ただ本文を読む限り「誰も感染を報告してこなかった」と言っているだけなので、追跡調査をしたり、血中の抗体の有無を調べたりはしていないようです。また11月6日に5.6万人に緊急摂取し、彼らは海外に出て行ったと言っていますが、この数が本当なら先日発表されたファイザーによるフェーズ3の臨床試験よりも多くの参加者(43,661人が参加し11月13日までの41,135人が2回の接種を受けた)がいることになります。これに対して何も追跡検査をしないのならもったいない。

さらに興味深いのが、中国で緊急ながら承認を受けているワクチンは不活性ワクチン(inactivated vaccines)で、ファイザーなどが手掛けているRNAワクチンとは異なるものです。シノファームの公な報告がぱっと見みつからないのですが、同様に承認を受けた中国産不活性ワクチンCoronaVacに関して記事を見つけることが出来ました。

Early Trials Of Chinese Company's Vaccine Show It Triggers An Immune Response

ワクチン接種をすることで免疫抗体反応を誘導するようですが、回復した患者さんから得られる抗体量と比べて低いレベルであるとのこと。それに対しファイザーやモデルナなどのRNAワクチンは患者さんのそれと同レベルの抗体が血中に観察されている、という指摘がなされていました。別に産出量が少なくても本当に効くのならいいんじゃない?と個人的には思いますけどね。

ちなみにCoronaVacのフェーズ1/2の結果に関する論文はすでにランセット(これはいい雑誌)に掲載されているので、興味がある方はご参照下さい。
Safety, tolerability, and immunogenicity of an inactivated SARS-CoV-2 vaccine in healthy adults aged 18–59 years: a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 1/2 clinical trial

私みたいな末端でも実験屋としてはワクチン効果の結果に根本的な疑問があるのですが、それはまた別な機会で触れることにします。
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