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モデルナ社のワクチン認可申請に関するデータについて [コロナウイルス]

昨日書かなかったことですが、ファイザー社に続きモデルナ社もワクチン使用の緊急認可をFDAに申請したようです。日本にも供給される契約が結ばれているので、日本語でもたくさん記事になっていましたね。ただなるべく一次記事を拾ったほうがいいので、モデルナ社のプレスリリースを参照します。

Moderna Announces Primary Efficacy Analysis in Phase 3 COVE Study for Its COVID-19 Vaccine Candidate and Filing Today with U.S. FDA for Emergency Use Authorization

Moderna plans to request an Emergency Use Authorization (EUA) from the U.S. Food and Drug Administration (FDA) and conditional approval from the European Medicines Agency (EMA).

(モデルナ社は米国食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)を申請し、欧州医薬品庁(EMA)に条件付き承認を得る予定です。)

日本の当局には申請しないんでしょうか?日本が他国で生産されたワクチンの使用をどのように認可するか知りませんが、恐らく供給も2番手以降なんでしょう。もっとも総感染者数・被害者数から鑑みればそちらを先に供給するのは自然のように思うので卑屈になる必要はないかと思います。

Vaccine efficacy has been demonstrated at the first interim analysis with a total of 95 cases based on the pre-specified success criterion on efficacy. Today’s primary analysis was based on 196 cases, of which 185 cases of COVID-19 were observed in the placebo group versus 11 cases observed in the mRNA-1273 group, resulting in a point estimate of vaccine efficacy of 94.1%.

(あらかじめ設定した有効性に関する成功基準に基づき、ワクチンの有効性は当初95例を一時的に解析して確認した。今回の主な分析は196例を対象とし、そのうちCOVID-19がプラセボ群で185例、mRNA-1273(ワクチン)群で11例観測され、ワクチン有効性の推定値は94.1%であった。)

ここには書かれていませんが、元々は30,000人以上の被験者にプラセボ(何も入っていないコントロール)、もしくはワクチンを打ったのに、196例しか症例が報告されていないんですね。比較するには群内の数は一緒にするはずですから、約15, 000人にプラセボを打ったとして発生率を計算すると185/15,000=1.23%。アメリカの総人口を3.3億人として今日現在の総感染者数は13,709,452人(ジョンズホプキンス大学のダッシュボードより)なので、感染率を計算すると1370万/3.3億=4.15%。この臨床試験が始まったのが8月中旬から下旬ぐらいで、10月末までのワクチン接種を完了したはず。つまり環境的にはまだ暖かく人々も外で活動していたため感染率が低く出ているのかも知れません。それでも1.23% vs. 4.15%という数字の違いは大きく見えるので、治験参加後の被験者の行動(普通の人よりソーシャルディスタンスを守ったり、マスクをしたり)が多少なりとも結果に反映されてないかな、と考えてしまいます。

ただワクチンが94.1%有効だった、という結果に問題はないですけどね。また、

A secondary endpoint analyzed severe cases of COVID-19 and included 30 severe cases in this analysis. All 30 cases occurred in the placebo group and none in the mRNA-1273 vaccinated group.

(2つ目のエンドポイントではCOVID-19 の重症例を解析し、この解析には 30の重症例が含まれていた。30例はすべてプラセボ群で発生し、mRNA-1273ワクチン接種群では1例も発生しなかった。)

と書かれているので、ワクチン接種は重症化を防ぐ可能性が高いと言えます。このことは一番期待されていた効果ではないでしょうか。

The safety profile of the Phase 3 study of mRNA-1273 was previously described on November 16.

(mRNA-1273の第3相試験の安全に関する分析結果は、11月16日に既報のとおりです。)

このデータは以下のサイトから拾えます。

Moderna’s COVID-19 Vaccine Candidate Meets its Primary Efficacy Endpoint in the First Interim Analysis of the Phase 3 COVE Study

我々が気になるところは副作用ですが、元のプレスリリースにはこのように書いてありました。

Based on prior analysis, the most common solicited adverse reactions included injection site pain, fatigue, myalgia, arthralgia, headache, and erythema/redness at the injection site. Solicited adverse reactions increased in frequency and severity in the mRNA-1273 group after the second dose.

(事前の解析に基づくと、最も多かった副作用は注射部位の疼痛、疲労、筋肉痛、関節痛、頭痛、注射部位の発赤であった。誘発された副作用の頻度と重症度は、mRNA-1273投与群では2回目以降に増加した。)

素人ながら判断すると副作用の範囲は通常のインフルエンザと同じ程度に思えます。ただこの判断は人によって違うので、ご自分でご解釈下さい。

ちなみに被験者ですが、最後に以下のように記述されていました。

The COVE study includes more than 7,000 Americans over the age of 65. It also includes more than 5,000 Americans who are under the age of 65 but have high-risk chronic diseases that put them at increased risk of severe COVID-19, such as diabetes, severe obesity and cardiac disease. These medically high-risk groups represent 42% of the total participants in the Phase 3 COVE study.

(この治験には、65歳以上のアメリカ人が7,000人以上含まれている。また、65歳未満でありながら糖尿病や重度の肥満症、心疾患など、COVID-19が重症となる危険が高い慢性疾患を有するアメリカ人を5,000人以上含んでいる。これらの医学的にハイリスクなグループは、第3相COVE試験の参加者全体の42%を占めている。)

治験としての被験者の選び方的には恐らく偏りがなくていいのかな、と思います。

まだ感謝祭での移動による感染者増は見えていませんが、大きく増えるのでは?と危惧する記事も少なからず見受けられます。もう少し時間がかかるとは言え、ワクチン開発並びに治療法の確立が一日も早くなされることを望むばかりです。
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