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アメリカ人による評価と自己評価の違い [日常]

私の大学では人事査定の資料として自己評価、通称merit evaluationというものが1年に1回存在します。アメリカの普通の大学教員というのは一般にteaching、research、administration/serviceという項目で仕事が割り当てられていて、採用時にもどれが何%か聞かされます。うちの大学の場合1学期あたり3科目担当する(3-3)のならばその割合は順に60%、30%、10%です。アメリカの大学の典型的な授業負担の話は以下のサイトを参照下さい。

What is the typical teaching load for university faculty?

そのmerit evaluation(メリット評価、と書くことにします)は1がだめ、3がまぁまぁ、5が期待を超えてよくやった、という5段階評価となっていますが、今年からteachingの項目で生徒からのフィードバック(Student Evaluation of Instruction、通称SEI)だけでなく先生同士での客観的な評価も加わることになりました。生徒からの評判をよくするのならめちゃくちゃ授業を簡単にしてみんなにAをあげれば評価は簡単に上がりますからね。で昨年から委員会が設置されてどんな項目をどう評価するかの議論がなされ、今回から運用に至ったわけなのです。それで今日はその評価の日でした。

同僚がスコア表を基に色々とシラバスはどうしたか、授業はどうやったか、ブラックボードや他のシステムなどを活用したか、テスト以外にも生徒を評価する機会を設けたか、学期末以外でも授業の内容を評価する機会を与えたか、など複数の項目にわたって質問しました。私が担当するのは大学院の授業のみで、そのレベルであれば生徒が勝手に勉強すればいいだけのことと思うので、英語で言うspoon-feeding(赤ちゃんにスプーンで食べ物すくってあーん、とやるようなこと)のような指導は大学生相手でも反対なのですが、今回設定された項目でいいスコアを得るにはそれが必要となっていました。teachingだけをやっている人が多い学部のため、それが特に大事として項目が作成されても納得できなくもありません。ただ私は信念をもって上記なことを大学院生相手にやっていないので自己採点では平均かそれ以下のはずですが、同僚はアメリカ人特有のちょっとでもやってると拾ってくれて「じゃこれは満たしているかな」ということで平均よりちょっと上の評価にしてくれました。まぁ大して差が出ないとは言え給料に直結するので、自分で「いや違います、下げてください」とは言いませんでした。

レジュメの内容でもそうですが、アメリカ人は1回ぐらい、もしくはちょっとぐらいやったことでも「やった」というのが普通です。従って彼らの話は本当に話をして確認しないと全く信用ならないのですが、今回は逆に彼らの基準で評価してもらいました。アメリカに来て20年、こっちのやり方に慣れたと思っていたのですが、まだまだのようです。こっぱずかしい、と考えるのですが、やったことはもっと大げさにアピールしてもいいのかな、と感じた機会でした。
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