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新型コロナウイルスについて学習、その3、ウイルスの感染 [コロナウイルス]

先週は大学が春休みだったので、今週に入って授業をZoomにて再開しました。昨晩3時間弱、今日は75分、こちらも生徒も雰囲気的には慣れてきた感じです。今学期も残り2週間となり、途中どうなることかと思いましたがどうにか今学期を終えられそうです。

さて新型コロナウイルスの学びの続き、あくまでも私の理解の備忘録です。前回まではウイルスのスパイク部分がACE受容体を認識して結合するため、その受容体があるところで侵入(=感染)が起きうることを書きました。この話も含めてNew York Timesに絵付きで分かりやすく書いてありました。以下の図はそこから借りています。

How Coronavirus Hijacks Your Cells

1. 新型コロナウイルスの構造(前回説明済み)

virus1.jpg

石鹸の手洗いが有効なのは以下の通り、ウイルスを守る脂質の膜(エンベロープ)と石鹸は同質で溶けるので、ウイルスを不活性化出来ます。

The virus is enveloped in a bubble of oily lipid molecules, which falls apart on contact with soap.

(ウイルスは油性脂質分子の泡に包まれており、石鹸と接触すると分解する)。

2.脆弱な細胞への侵入(前回説明済み)

virus2.jpg

前回書いた通り体内に入った後、スパイクたんぱく質がACE2受容体を認識して細胞内へ侵入を図ります。

The virus enters the body through the nose, mouth or eyes, then attaches to cells in the airway that produce a protein called ACE2.

(ウイルスは鼻、口、目から体内に入り、ACE2と呼ばれるタンパク質を産生する気道の細胞に付着する。)

3. 体内でウイルスのRNAを放出

virus3-1.jpg

The virus infects the cell by fusing its oily membrane with the membrane of the cell. Once inside, the coronavirus releases a snippet of genetic material called RNA.

(ウイルスはその油性膜と細胞膜を融合させることによって細胞に感染する。内部に入ると新型コロナウイルスはRNAと呼ばれる遺伝物質の断片を放出する)

ここで一つ疑問、どんなきっかけでRNAを内部で放出するのでしょうか?分子細胞生物学の教科書を参照すると、この過程がもう少しわかりました。

virus3-3.jpg

Other enveloped viruses, such as influenza virus, first bind to cell-surface receptors, triggering receptor-mediated endocytosis. When the endosome acidifies, the virus envelope fuses with the endosomal membrane, releasing the nucleocapsid (blue) into the cytosol.

(インフルエンザウイルスなどの他のエンベロープウイルスは、最初に細胞表面の受容体に結合し、受容体を介したエンドサイトーシスを引き起こす。エンドソーム酸性化すると、ウイルスのエンベロープがエンドソームの膜と融合して、ヌクレオカプシド内のウイルスRNAが細胞質に放出される。)

何故このような過程を経るかと言うと、RNAは極性を持つので疎水性の細胞膜を通り抜けられないからです。平たく言えば水と油ではじいてしまうイメージです。エンドソームの酸性化は図のように水素イオン(H+)を内側に入れる入り口(プロトンチャンネル)があり、たくさん水素イオンがウイルスに入ることでウイルス表面のたんぱく質構造に変化が起き、ウイルス遺伝子が放出される、と書いてありました。特に上の図を見るとどうやってウイルスの膜とエンドソームの膜が融合するかわかります。なるほど。

Cell Biology of Infection(Pubmed内でこの教科書を無料で参照できます、素晴らしい)

長くなったので、続きは明日のその4で。
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